春に読みたい小説*3作品
関東もだんだんと暖かくなってきましたね。この時期の夕方の匂いが好きです。
こんにちは、やどかりです。
地元関西とは少し違う、春の匂いがします。
ようやくようやっと機能し始めます。
「書籍紹介」「Book introduce」と謳いながらそんな記事は一切なかった詐欺ブログがようやく書籍紹介の記事を書きます。お待たせいたしました。(待ってへんで)
一発目の冒頭に言い訳がましいのですが最初の紹介をどの本にするか悩みに悩んで書いては下書きに溜まるという感じでした。
手探りではあるけれど、本を愛する者として、どんどこと本を紹介していきたいと思います。
最初の紹介は春に読みたい小説3作品です。
「世界から猫が消えたなら」 川村元気
(Kindle版有)
余命少ない30歳の青年が主人公。突然現れた悪魔と取引をして、「1日生きながらえるためにこの世から何か1つ消す」という契約をします。命と引き換えに色々なものが世界から消えていく不思議な7日間のお話。
この悪魔、癖の強いキャラクターのように描写されていますが実のところインパクトは弱いんですね。それがために、物語を通じておとぎ話のようなふんわりとした雰囲気が漂っています。おとぎ話の雰囲気だからこそ「死」を冷静に見つめられているように感じました。
また、著者が映画製作をされてきた方だからか「映像を読む」という感覚があります。視点が映画的。
そして、特筆すべきはやっぱり猫への限りない愛!
レタス、キャベツという2匹の猫が登場しますが、どちらの描写もとても丁寧です。作者の方は猫が本当に大好きなんだなあと感じられます。猫好きならきっと共感できる描写が多くあるはず。
実写映画化されて来る2016年5月14日に公開されます。映画公開の前にまずは原作を読んでみてはいかがでしょうか。
(映画公式サイト☞www.sekaneko.com)
「卵の緒」 瀬尾まいこ
(Kindle版有)
表題作「卵の緒」と「7’s blood」の2作品収録。今回は表題作について紹介します。
少年の目線から見る親子の物語です。しかし、ただの「ほっこり」家族小説ではなく、少年の目を借りて冷静に親子を見つめています。
注目は物語をぐいぐい引っ張るお母さん!子どもへの愛の伝え方がすごく上手に描かれています。
そして、もう一つのポイントは食事のシーン。いくつか食卓の場面があるのですがどれもお腹の空いてくるシーンです。個人的に美味しいご飯の出てくる小説は読んだ後に優しい気持ちになって、台所に立つのが楽しみになるので好きです。
感受性豊かな少年の目を通じて読者の感受性も弾む、そんなお話。
収録の2作品とも短めなので、春の通勤・通学の時間におすすめです!
「UNTITLEDアンタイトル」 飛鳥井千砂
品行方正で完璧主義の女性、桃子が主人公です。31歳実家暮らし未婚の彼女ですが、料理も仕事も完璧にこなします。ともすれば「バリバリのキャリアウーマン」なのに清貧な雰囲気が漂う女性です。そんな彼女には一つだけ「秘密」を抱えています。その「秘密」と共に彼女の生き方を問う物語です。春の似合う彼女が抱えているものは現代にはけっこうありふれているのではないかなと思ったりします。
ここで印象的な一文を紹介。
「あなたは誰?」
これは、現代に生きる人皆がぶつかる問いなのではないでしょうか。その問いにドンと真正面からぶつかる桃子が繊細に描かれています。
そして!料理の様子がすごく丁寧なのでお腹が空いてくる小説です。(しつこいって言わないで)なんでも完璧にこなす彼女だから料理ももちろん完璧、とても美味しそう!
落ち着いたカフェでじっくりと読んでほしい1冊です。
以上、春に読みたい小説、3作品のご紹介でした!
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